内視鏡室

当院における消化器疾患の検査・治療について

 現在、当院には内視鏡担当医6名、コメディカルスタッフ(看護師3名、洗浄員1名)の協力の下、安全・迅速な対応と的確な診断治療を目指し日々診療を行っています。
 当院内視鏡室では、上部消化管内視鏡検査、大腸内視鏡検査、内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査や内視鏡による早期癌及びポリープの切除、総胆管結石・閉塞性黄疸に対する内視鏡治療及び胃瘻増設術、大腸ステント留置術などを行っています。2023年度は約4500件の診断的内視鏡検査・治療が行われ、過去最高件数となっており、年々増加傾向を示しています。
 日常診療の中で市民の皆様から「内視鏡時に麻酔をしてください」といった声を耳にすることがあります。「内視鏡検査=怖い・苦しい検査」といったイメージをお持ちの方も多くおられるのが現状です。「怖い」の意味は様々あると思いますが、①「何か病気が見つかったらどうしよう」といった検査への不安、②検査による苦痛や不快感の2種類があると思います。そのような不安をお持ちの患者様にも安心して検査を受けていただけるように、ご希望の皆様には「鎮静」という安心に加え、医師・看護師らによる「チーム医療」という安心を提供いたします。
 我々は、高度で安全な医療、患者様にやさしい医療を提供することを基本としており、内視鏡を用いて病変を早期かつ確実に診断し、非侵襲的で患者様に負担の少ない治療を目指しています。
 人生100年時代と言われている通り、ある海外の研究では、2007年に日本で生まれた子供の半数が107歳より長く生きるを推計されており、日本は健康寿命が世界一の長寿社会を迎えています。これからは、特に内視鏡スクリーニング検査における異常所見の拾い上げを確実に行い、より健康的な人生を送っていただけるように我々がサポートできるような医療を提供していきたいと考えております。また、ご紹介患者様につきましては、地域医療連携室を介して、外来診察及び検査予約が可能です。治療のご相談やスクリーニングのみでもかまいませんのでお気軽にご紹介いただけますと幸いです。今後とも当院の内視鏡室をよろしくお願い申し上げます。

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内視鏡検査(治療)件数

区分 項 目 2023年度 2022年度 2021年度
上部 上部内視鏡検査(経鼻内視鏡検査を含む) 2750 2714 2540
  上部内視鏡的粘膜切除術(EMR) 5 5 9
  上部粘膜下層剥離術(ESD) 38 46 36
  食道静脈瘤結紮術・硬化療法(EVL・EIS) 0 0 3
  胃瘻造設術(PEG) 18 14 21
  その他の処置 148 173 158
  2959 2952 2767
下部 大腸全腸内視鏡検査(TCS+SF) 1127 1113 1183
  下部内視鏡的粘膜切除術(EMR) 281 251 192
  下部粘膜下層剥離術(ESD) 37 31 44
  その他の処置 65 54 81
  1510 1449 1500
胆膵 181 152 188
内視鏡合計 4650 4553 4455

消化器内科で扱う主な疾患及び診療内容

早期食道癌・胃癌

ガイドラインに沿って粘膜下層剥離術(ESD)による治療を積極的に行っております。

癌性食道狭窄

食道ステント留置やその他、術後瘢痕狭窄、種々の癌性狭窄、アカラシアに対して内視鏡下バルーン拡張術を行っております。

食道静脈瘤

内視鏡的静脈瘤硬化療法、肝・腎不全、出血傾向を伴った症例には内視鏡的静脈瘤結紮術を行っております。

嚥下困難症例(経口摂取不十分・不能例)

経鼻チューブ栄養に代替として内視鏡下胃瘻造設術を行っております。

ヘリコバクターピロリ菌除去療法

胃十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、早期胃癌内視鏡治療後、ヘリコバクターピロリ感染症胃炎、胃過形成性ポリープなど、様々なピロリ菌関連疾患に対して除菌治療を行っております。また、ペニシリンアレルギー患者の除菌治療や、3次除菌治療にも対応しております。

早期大腸癌

内視鏡的粘膜切除術、粘膜下層剥離術を多数行っております。10ミリ以下の小ポリープに対しては、通電しない粘膜切除術、cold EMRも行っております。

腸閉塞

内視鏡によるイレウスチューブの挿入、閉塞性大腸癌に対しては適応を慎重に選び、ステント留置を行っております。

潰瘍性大腸炎・クローン病

炎症性腸疾患の診療を積極的に行っており、難治性潰瘍性大腸炎症例には、生物学的製剤による治療や、クローン病に対しては成分栄養療法を中心にして、5-ASA製剤、ステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤による薬物療法を行っております。また潰瘍瘢痕狭窄による通過障害に対してバルーン拡張により非侵略的治療を行っております。

膵臓癌・胆道癌

胆・膵腫瘍による悪性胆道狭窄、胆管結石による良性胆管閉塞に対して、内視鏡的胆道ドレナージ術を行っております。切除不能な悪性胆道狭窄に対して、積極的に金属ステント留置を行っております。

総胆管結石

内視鏡的乳頭括約筋切開術を行い安全で効率的な結石治療を目指しております。